まさか最後に矢崎粟に武術を奪われるとは思わなかった。
混乱に乗じて手を出そうとした者たちも、皆痛い目に遭った。その時から矢崎粟の名は修行界に轟いた。
そして今、彼は伝説の矢崎粟と出会ったのだ。
矢崎粟は少年に視線を向け、ゆっくりと尋ねた。「私が矢崎粟だと、どうして分かったの?」
少年は固く口を閉ざしていた。
しばらくして、彼は言った。「天虚派の者たちが私を人質にして、私の持っている霊石探知器で霊石鉱を探そうとしています。もし私を助けてくれたら、霊石鉱を見つける手伝いをします」
彼の目には、一筋の希望が宿っていた。
もし矢崎粟が助けてくれなければ、今日死ぬことになる。
矢崎粟は何も言わず、二つの派の者たちを見つめた。「ここは小林家の領地だ。三十分以内に立ち去れ。さもなければ後果は自分で責任を取ることになる」