731 10級天魔結界

まさか最後に矢崎粟に武術を奪われるとは思わなかった。

混乱に乗じて手を出そうとした者たちも、皆痛い目に遭った。その時から矢崎粟の名は修行界に轟いた。

そして今、彼は伝説の矢崎粟と出会ったのだ。

矢崎粟は少年に視線を向け、ゆっくりと尋ねた。「私が矢崎粟だと、どうして分かったの?」

少年は固く口を閉ざしていた。

しばらくして、彼は言った。「天虚派の者たちが私を人質にして、私の持っている霊石探知器で霊石鉱を探そうとしています。もし私を助けてくれたら、霊石鉱を見つける手伝いをします」

彼の目には、一筋の希望が宿っていた。

もし矢崎粟が助けてくれなければ、今日死ぬことになる。

矢崎粟は何も言わず、二つの派の者たちを見つめた。「ここは小林家の領地だ。三十分以内に立ち去れ。さもなければ後果は自分で責任を取ることになる」

そう言うと、彼女は平地の中央にある穴口へと歩み寄った。

穴口を覗き込むと、中で何かが輝いているのが見え、非常に強い霊力の波動も感じられた。

ここが霊石窪地だ。

河野晃は拳を握りしめ、目を見開いて矢崎粟を睨みつけ、心中で激しい不満を感じていた。

明らかに自分が先に見つけたものなのに、神盗派が分け前を求めてくるのはまだしも、矢崎粟が来て霊石鉱を独占しようとするなんて、あまりにも非道だ。

彼から見れば、矢崎粟が国家に上納すると言うのは、完全な口実に過ぎなかった。

河野晃は怒鳴った。「言っただろう、この霊石鉱は俺が先に見つけたんだ。欲しいなら、俺と一戦交えてみろ!」

彼は鞭を手に、矢崎粟に向かって歩み寄った。

この鞭には邪気が纏わりついており、玄学師が打たれれば、邪気が体内に侵入する。

矢崎粟は無表情で、目には冷たい光が宿っていた。

河野晃が鞭を振り上げ、矢崎粟に向かって打ち下ろすと、周囲の者たちが驚愕する中、矢崎粟は法力で一振りの剣を凝結させた。

彼女が手を伸ばすと、剣で鞭を絡め取った。

さらに引っ張ると!

河野晃の手から鞭が矢崎粟に奪われた。

彼は叫んだ。「俺の鞭!」

この鞭は苦労して手に入れた武器なのに、どうしてこんなに簡単に矢崎粟に奪われてしまったのか?

矢崎粟は鞭を手に入れると、手の中の剣を消した。

彼女は鞭を振り上げ、河野晃に向かって打ち下ろした。

「パチン!」