796 弱み

小林美登里は元々怒っていたが、この二人の言葉を聞いた後、完全に爆発しそうになった。

彼女は矢崎弘に駆け寄り、平手打ちを食らわせた。「不届き者め、毎日両親の離婚を願っているのか？大きくなったからって、私が叩けないと思うな。」

その後、彼女は矢崎弘の背中を何度も激しく叩いた。

矢崎政氏が前に出て止めようとしたが、母親は彼にも何発も平手打ちを食らわせ、顔も体も痛かった。

彼が母親の手を掴んで落ち着かせようとしたが、母親は直接爪を立てて彼の首と顔を引っ掻いた。

矢崎政氏は傷跡が痛くて痒かった。

手で触れると、思わず「痛っ」と声を上げた。

矢崎政氏は怒鳴った。「母さん、父さんが離婚したいって言うなら、僕は大賛成だよ。僕という息子が嫌いなら、縁を切ってもいい。」

彼の心は完全に冷めていた。

矢崎弘も急いで言った。「そうだよ、母さんは僕が一番嫌いなんでしょ。僕と縁を切るなら、もう二度と会いに来ないから、母さん、承知してよ！」

「この畜生、二人とも畜生め。」小林美登里は罵った。

彼女は息子たちと縁を切りたくなかった。夫と離婚しても、息子たちを頼りにできる。もし息子たちまでいなくなったら、彼女は独りぼっちの老人になってしまう。

「母さん、お願いだから考えてよ。どうせ矢崎粟とも縁を切ったんだから、僕一人くらい関係ないでしょう。」矢崎政氏は小林美登里の前に進み出て、ドスンと膝をつき、懇願の表情を浮かべた。

小林美登里は冷たい表情で言った。「あなたと矢崎粟が同じだと思うの？あの子は誘拐されて、家族に恨みを持っていた上に、私も小さい頃から面倒を見なかったから、縁が切れたのは仕方ない。でも私はあなたたち四人の息子を育て上げた。今になって私と縁を切りたいだって？」

「言っておくけど、絶対に無理よ。」彼女はまだ四人の息子たちからお金をもらえることを期待していた。

矢崎政氏は不満げな表情で、歯を食いしばった。

小林美登里は更に脅した。「もしあなたたちの誰かが矢崎粟のように、SNSで宣言しようものなら、私はテレビ局であなたたちのスキャンダルを暴露して、キャリアを台無しにしてやるわ！」

彼女は、この息子たちが自分のキャリアを気にしないはずがないと確信していた。