息子たちが皆、小林美登里を見捨てたからこそ、今こそ付け入る隙があると思った。
まずは母の小林美登里の面倒を見て、彼女の機嫌が良くなったら、お金を要求しようと考えた。
小林美登里が離婚したら、きっと大金を手にするはずだから、もっと多くの利益を得られるだろう。
お金目当てだとしても、小林美登里の世話をするふりをしなければならない。
小林美登里は怒りに満ちた目で彼女を睨みつけ、いらだたしげに言った。「あなたに何の関係があるの?あなたのような厄介者を置いていなければ、夫や息子たちとこんな風になることもなかったわ。あなたは災いを呼ぶ存在よ」
彼女は後悔した。なぜ最初から矢崎美緒を引き取って一緒に住もうとしたのだろう?
矢崎夫人として平穏に暮らしていれば良かったのに。
今や夫は離婚を求め、息子たちは皆、心を離してしまった。