797 ろくでなし

息子たちが皆、小林美登里を見捨てたからこそ、今こそ付け入る隙があると思った。

まずは母の小林美登里の面倒を見て、彼女の機嫌が良くなったら、お金を要求しようと考えた。

小林美登里が離婚したら、きっと大金を手にするはずだから、もっと多くの利益を得られるだろう。

お金目当てだとしても、小林美登里の世話をするふりをしなければならない。

小林美登里は怒りに満ちた目で彼女を睨みつけ、いらだたしげに言った。「あなたに何の関係があるの?あなたのような厄介者を置いていなければ、夫や息子たちとこんな風になることもなかったわ。あなたは災いを呼ぶ存在よ」

彼女は後悔した。なぜ最初から矢崎美緒を引き取って一緒に住もうとしたのだろう?

矢崎夫人として平穏に暮らしていれば良かったのに。

今や夫は離婚を求め、息子たちは皆、心を離してしまった。