藤田川は思考を取り戻し、しばらく考えてから言った。「この邪気の洞窟は尋常ではないと感じている。中には別の力が潜んでいるようで、心が落ち着かない。」
この言葉を聞いて、矢崎粟の表情も真剣になった。
藤田川の実力はすでに強く、精神も安定していたのに、この邪気の洞窟が彼の心に影響を与えるとは。
この邪気の洞窟は尋常ではない……
「他に何か感じることは?」矢崎粟はすぐに尋ねた。
藤田川はゆっくりと答えた。「この邪気の洞窟には意識があるように感じる。私を飲み込もうとしているようだ。洞窟の奥には、非常に強いエネルギーの波動がある。」
そのエネルギーの波動は、人かもしれないし、何かの物かもしれない。
具体的に何なのかは、推測が難しい。
矢崎粟は徐々に小さくなっていく洞口を見つめながら、考えた後で言った。「おそらくこの邪気の洞窟は誰かに操られているのだろう。その人物が私たちの状況を知って、邪気を移動させたのかもしれない。」
こんなに短時間で、誰かが操っているのでなければ、邪気がこんなに消えるはずがない。
もし本当に誰かが操っているとすれば、その人物は誰なのか?
藤田川は冷たい声で言った。「深い悪意を感じる。なぜか、そのエネルギーは懐かしくも見知らぬ感じがする。まるで昔の敵のようだ。」
彼の感覚は常に正確で、間違えることはない。
矢崎粟は頷いた。「わかった。この邪気の洞窟を浄化した後で、森村邦夫とこの洞窟の関係を調べましょう。」
もし邪気の洞窟の発生源を見つけることができれば、大きな秘密が発見できるかもしれない。
彼女には予感があった。誰かが今日の出来事を窺っているという。
森村邦夫と堀信雄を倒しても、完全に安心することはできない。
藤田川は言った。「そうだな、調べてみよう!」
調べなければ、彼も安心できない。
彼は自分の不死の体に多くの者が垂涎していることを知っていた。
彼の存在は、まるで肥えた肉のように、人々の欲望を引き寄せる。
二人は邪気の洞窟を完全に浄化した後、古戦場に陣法を施し、部外者が侵入できないようにした。
二日後。
夜、矢崎粟は部屋に座っていると、一つのメッセージを受け取った。
田中凛:【粟さん、あの人が捕まったと聞きました。私と矢野徹でその人とDNA鑑定をして、それを公表したいと思います。】