787 同じ穴の狢

矢崎粟は笑って言った。「親子そろって同じような人間だね。この堀首席の地位も、あなたが彼に与えたものでしょう?この師弟関係、本当に人目を欺くためのものだったんですね」

権力を私物化する者は、他人も皆権力を好むと思い込むものだ。

「矢崎粟!」

森村邦夫は冷たく叫び、頭の中で突然ある可能性に思い至った。「わかったぞ、やっとお前がなぜ死の劫を無事に乗り越えられたのかわかった。あのろくでもない師匠のせいだったんだな。天命逆転の秘術を使ったんだ。そうだったのか!」

彼は悟ったような表情を浮かべ、目つきはさらに凶暴になった。

矢崎粟が師弟関係に触れたことで、彼は突然高橋寛人のことを思い出し、この秘術のことも思い出した。

「あなたには彼の師兄を務める資格なんてない」と矢崎粟は冷たい表情で言った。

森村邦夫は狂ったように首を振った。「後悔している、本当に後悔しているんだ。もっと早くお前とお前の師匠を殺しておくべきだった。天国で仲良く暮らせばよかったんだ。お前たちのような人間は規則を破壊するだけだ!」

矢崎粟は一般人のために、玄学界の規則を破り、玄学師の頭上に剣を一振り加えた。

そして彼女の師匠も、一般人のために彼に対抗し、こっそりと運気を奪われた人々を助けていた。

森村邦夫には本当に理解できなかった。

みんな玄学師なのに、一緒に楽しく暮らせばいいじゃないか?

高橋寛人は彼の運気を奪う計画を妨害しなければならなかった。

本当に憎らしい!

矢崎粟はここまで聞いて、目に冷たい光を宿し、顔には霜が降りたかのような表情を浮かべながら、邪気の洞窟の傍らを歩いてきた。

彼女は川上孝史に向かって言った。「装置と銃を頂戴!」

「はい!」川上孝史はすぐに赤色炎火を制御する装置と霊力消解銃をすべて矢崎粟に渡した。

矢崎粟はそれらを受け取るとすぐに、赤色炎火の制御を始めた。

彼女は赤色炎火を操り、森村邦夫の体に向かって攻撃を仕掛けた。その速さと機敏さは尋常ではなかった。

まるで目があるかのように、炎火は森村邦夫に向かって飛んでいった。

森村邦夫の露出した肌は全て火傷を負った。

彼は思わず大声で叫んだ。「痛い!ああ!このろくでもない物め、来るな!」

すぐに空中には焦げた匂いが漂い始めた。