787 同じ穴の狢

矢崎粟は笑って言った。「親子そろって同じような人間だね。この堀首席の地位も、あなたが彼に与えたものでしょう?この師弟関係、本当に人目を欺くためのものだったんですね」

権力を私物化する者は、他人も皆権力を好むと思い込むものだ。

「矢崎粟!」

森村邦夫は冷たく叫び、頭の中で突然ある可能性に思い至った。「わかったぞ、やっとお前がなぜ死の劫を無事に乗り越えられたのかわかった。あのろくでもない師匠のせいだったんだな。天命逆転の秘術を使ったんだ。そうだったのか!」

彼は悟ったような表情を浮かべ、目つきはさらに凶暴になった。

矢崎粟が師弟関係に触れたことで、彼は突然高橋寛人のことを思い出し、この秘術のことも思い出した。

「あなたには彼の師兄を務める資格なんてない」と矢崎粟は冷たい表情で言った。