782 切り札

森村邦夫は二人をすぐにも倒せそうだと感じ、心の中で得意げになっていた。

彼には自信があった。この二人は邪気の洞窟の相手ではないと。

藤田川は表情を引き締め、何も言わなかった。

森村邦夫は二人が警戒している様子を見て、冷笑を浮かべた。「矢崎粟、お前はすぐに私の邪気の洞窟に飲み込まれ、白骨になるだろう。逃げられると思うな!藤田川、分別があるなら自ら原神力を消し、その体を私に差し出せ。そうすれば苦しい戦いを避けられるぞ」

彼はまだ慈悲深かった。

藤田川の苦痛は免除できるが、矢崎粟は決して楽にはさせない。

藤田川は相変わらず平然とした様子で、森村邦夫を無視した。

彼は矢崎粟の方を見て、彼女の言葉を待った。

矢崎粟は彼に安心させるような目配せをした。「先輩、ご心配なく。彼は勝ったと思い込んでいますが、それは単なる妄想です。私たちにも切り札がありますから」