791 離婚協議

電話を切ると、すぐに秘書を呼び入れた。

矢崎正宗は「会社の弁護士に離婚協議書を作成してもらいなさい。妻への財産分与は法律に基づいて分配し、子供たちはもう大きいから親権を争う必要もない。できるだけ早く協議書を作成するように」と言った。

「はい!」秘書は目に浮かぶ驚きを隠して退出した。

社長夫婦の仲が良くないことは知っていたが、まさか離婚にまで至るとは思わなかった。

しかし、矢崎社長の奥さんは本当に道理が分からない人だ。矢崎粟のような優秀な娘がいるのに、養女を可愛がるなんて、会社の人々にも理解できないことだった。

秘書として、矢崎社長がもったいないと感じた。

秘書の目には、矢崎社長は良い夫の代表で、会社で全力を尽くし、わざわざ男性秘書を選んで妻を安心させようとしていた。