小林美登里がプライドを保ちたがり、頑固でなければ、とっくに彼女を見捨てていただろう。
矢崎美緒は状況が悪化しているのを見て、すぐに小林美登里の前に進み出て、深々と頭を下げ、涙を流しながら言った。「お母さん、私に対する恩は山のように重いです。でも、私のせいで家族の不和を引き起こすわけにはいきません。自ら去ります。もう喧嘩はやめてください。」
小林美登里はそれを聞いて、さらに気分が悪くなり、矢崎正宗たちに向かって怒鳴った。「誰が彼女を追い出すなんて許さないわ。彼女を追い出すということは、私を追い出すということよ。」
矢崎美緒を守れなければ、彼女の面子も保てない。
どうしても矢崎美緒を手放すつもりはなかった。
矢崎泰は母親を深く見つめ、心の中で完全に冷めてしまった。
矢崎政氏は歯を食いしばったまま、何も言わなかった。