802 5億円

田中凛は冷たく鼻を鳴らし、「言わないと分からないわ。3秒あげるから、それでも言わないなら切って着信拒否するわよ」

「そんなことできるもんですか!私を着信拒否したら、あなたのお父さんのところに行って、毎日うるさく騒ぎ立てますよ。病気の療養なんてできなくなるでしょうね!」本田水鳥は開き直ったような態度で言った。

田中凛の弱みは田中浩だった。

だからこそ、彼女は何度も田中凛に妥協させることができたのだ。

その言葉を聞いた後、田中凛の態度は案の定軟化した。「じゃあ言いなさいよ。今回はいくら欲しいの?」

「5000万円」本田水鳥ははっきりと言い切った。

その言葉を聞いて、田中凛は思わず笑い出した。「随分と私のことを買いかぶってるわね。私が事務所をクビになったの知ってるでしょう?そんなお金持ってるわけないじゃない」