803 禿げ頭の老人

背景から見ると、刑務所のようだ。

「堀信雄、本田水鳥との犯罪事件について詳しく説明しなさい！」

動画の中で声が響いた。

すると、禿げ頭の老人が話し始めた。「彼女は綺麗だった。食事をしているのを見かけて、私が率先して支払いを申し出た。そうしているうちに親しくなって、後に私は彼女に田中浩と結婚するよう仕向けた。私は彼女に毒を渡して田中浩に飲ませるように言い、田中浩の体調は次第に悪化していった…」

本田水鳥は動画を食い入るように見つめ、瞬きひとつしなかった。

この老人は一体誰なのか？

彼女はこの人物が堀信雄だとは信じられなかったが、この人の話し方や声の調子は彼にそっくりで、表情の細かな動きまでよく似ていた。

しかしこの人物は絶対に堀信雄ではない。堀信雄はこんなに老けていないはずだ！

人がどうしてこんなに急に老けることができるだろうか？

彼女には信じられなかった。

本田水鳥は心臓が激しく鼓動し、素早く携帯を裏返しにして、冷たい表情で言った。「こんな老人に芝居をさせれば私が信じると思ったの？あなたは役者だから、どうやってキャラクターを作り上げるか知っているでしょう。もう騙さないで。あなたのお父さんは30代で、とてもハンサムで格好いい人。年を取ったとしても、こんなに急に老けるはずがないわ。」

彼女は堀信雄と長年付き合ってきて、ずっと彼を信頼してきた。

そうでなければ、堀信雄との間に双子を産むこともなかっただろう。

田中凛は嘲笑うように笑った。「あなたの見識の浅さと愚かさのどちらを笑うべきかしら？これだけ長い間、彼が玄学に精通していることを知らなかったの？玄学に精通しているなら、玄学を使って若く見せることなんて簡単じゃない？」

堀信雄が騙したのは、本田水鳥のような頭を使わない人間だった。

「そんなはずない、嘘よ。」

本田水鳥は突然慌てだし、落ち着きを装って答えた。「彼は私に、協会の首席になれたのは家柄が良かっただけで、本人は玄学は得意ではないと言っていたわ。それに、若返りの邪術なんてあるはずがないでしょう？」

この人物は絶対に堀信雄ではない。