矢崎美緒は残りの貯金を使って、実の母のために弁護士を雇った。
彼女が弁護士と一緒に来ると、本田水鳥はようやく喜んだ。
本田水鳥は言った。「ありがとう、美緒。お母さんのことを一番思ってくれる良い子だと分かっていたわ。もう帰っていいわ。後のことは弁護士さんと話し合うから。」
彼女は弁護士の方を向いて話し始めた。
矢崎美緒は眉をひそめ、通話用マイクを引き寄せ、ガラス越しに言った。「お母さん、私との約束を覚えてる?暗証番号は何?」
彼女はまだお金を引き出すのを待っているのだ!
あの2000万円がなければ、本田水鳥のために弁護士を雇うはずがない。
本田水鳥はため息をつき、懇願するように言った。「美緒、あれはお母さんの老後のためのお金よ。お母さんが出所したら、一緒に使いましょう。安心して。」
今、矢崎美緒に渡したら、自分が年を取ったときどうするの?
矢崎美緒は冷笑して、「ふん、お母さん、約束したじゃない。約束を破るつもり?」
「美緒、お母さんを許してちょうだい。お母さんはただ将来のことを考えているだけよ。」本田水鳥の目が瞬く間に赤くなり、涙が目に溜まった。
矢崎美緒の心は冷たく、もちろん妥協するつもりはなかった。「いいわ。お母さんが私にくれないなら、弁護士も連れて帰るわ。勝手にしなさい!」
そう言って、彼女は弁護士に目配せした。
二人は立ち上がって出ようとした。
来る前に、彼女は弁護士と打ち合わせをしており、二人で芝居を打つことにしていた。弁護士も同意していた。
本田水鳥は焦り、椅子から立ち上がった。「ちょっと!美緒、行かないで。お母さんはまだ弁護士が必要なの。せっかく来てくれたんだから、残ってもらいましょう!」
矢崎美緒は冷たい声で言った。「お母さん、これが最後のチャンスよ。暗証番号を教えてくれる?」
彼女は冷たい表情で、氷のような目つきをしていた。
本田水鳥は娘の心が自分と同じように冷たいことを知っていた。
本田水鳥は深いため息をつき、涙を浮かべた顔で、哀れっぽく言った。「分かったわ。どうしてもそのお金が欲しいというなら、お母さんは諦めるわ。」
「そんな可哀想な言い方しないでよ。これは最初から約束していたことでしょう。」
矢崎美緒は容赦なく暴露した。
本田水鳥は歯を食いしばり、目に不満の色が浮かんだ。