810 釈明

矢崎美緒が寵愛されていた時は、周りの人々は「矢崎さん」「矢崎さん」と呼びかけていたのに、今や問題が起きると関係を切り離そうとする。

矢崎美緒は行き詰まって竜田実子のことを思い出し、彼女に電話をかけたが、番号が使われていないと表示された。

なぜ使われていない番号なのだろう?

もしかして堀首席に何かあって、竜田実子にも何かあったのだろうか?

すぐに監督から電話がかかってきて、この件の真相について尋ねられた。

矢崎美緒は意を決して言った。「これはもちろん嘘です。母はそんなことをしたことはありません。」

「分かった。嘘だと言うなら、ネットユーザーに真相を説明して、はっきりさせてくれ!」監督は厳しい声で冷静に言った。

「はい、説明します。」矢崎美緒は深いため息をつきながら、仕方なく答えた。

今や彼女は板挟みになっており、説明しなくても監督側からの疑いに直面しなければならない。

それなら賭けに出た方がまだましだ。

この件は事実だが、母はそう簡単に白状するはずがない。できるだけ時間を稼ごう!

監督の口調が少し和らいだ。「じゃあ、行ってきなさい。事情をはっきり書くように。メディアの人にデータを買っておくから。」

この状況では、お金を使って助けてもらわなければ、矢崎美緒が声明を出しても無駄だ。

監督は心の中で矢崎美緒を何度も罵った。

このドラマは彼の心血を注いだ作品だ。もし矢崎美緒のせいで台無しになったら、彼は矢崎美緒を死ぬほど恨むだろう。

矢崎美緒は「はい」と答えた。

彼女はしばらく躊躇してから、やっと携帯を取り出して投稿を始めた。

実は、彼女の心にも不安があった。

この件の真相はいずれ明らかになることを知っていた。

でも、こうしなければどうすればいいのだろう?

自分は何も知らないと表明することでしか、ネットユーザーの好感を取り戻すことはできない。

矢崎美緒は投稿した。【最近、私に関する話題が注目を集めていますが、説明させていただく必要があると思います。あの動画の女性は私の知らない人です。私の母は一人だけで、それは小林美登里さんです。営業目的のアカウントは噂を広めるのはやめてください。さもなければ、法的責任を追及させていただきます。】

この投稿が出るや否や、大きな波紋を呼んだ。