「はい、はい!」吉野柔は興奮した表情で、急いで答えた。「じゃあ、数日後にまた約束させてもらいます。その時は必ず来てくださいね。ドタキャンは禁止ですよ!」
「分かった、分かった」小林博は笑いながら言った。
吉野柔を乗せた車が走り去ってから、彼は無表情で自分の車へと向かった。
就寝前。
小林博は吉野柔にメッセージを送った。【今夜はお酒を飲みすぎたから、寝る前に二日酔い防止のスープを飲んで、早めに休んでね。】
すぐに吉野柔から返信が来た。【ありがとう、小林お兄さん。分かりました。】
彼女はベッドに横たわり、とても幸せな気持ちになった。
翌日。
吉野柔は小林博に映画を見に行こうとメッセージを送った。
小林博は承諾した。
映画館の入り口に着くと、吉野柔は小林博が既に待っているのを見つけた。片手に巨大なポップコーン、もう片手にタピオカミルクティーを2杯持っていた。
小林博は言った。「何が好きか分からなかったから、適当に買ってみたんだ。」
実はこれら全て秘書が用意したものだった。
彼は何も買っていなかった。
しかし吉野柔は感動のあまり涙が出そうになった。「ありがとう、小林お兄さん。全部大好きです。行きましょう!」
彼女は前に進み、タピオカミルクティーを受け取った。
彼らが見たのはラブストーリーで、ありきたりな展開に小林博は眠くなり、とても退屈だった。
一方、吉野柔は興奮して仕方がなかった。
前の席のカップルがキスをしているのを見て、小林博はとてもイライラした。
吉野柔は彼の腕を揺さぶりながら、「小林お兄さん、この主人公すごく紳士的ですね。私もこんな彼氏がいたらいいのに。」
これは彼女の探り入れだった。
小林博が自分に対してどんな気持ちを持っているのか確かめたかったのだ。
小林博は笑って、「君は可愛いから、たくさんの人から告白されているんじゃないの?」
「そういう人たちは私の好みじゃないんです。」吉野柔は口を尖らせて言った。
吉野家より家柄の劣る人は、自分には相応しくないと思っていた。
吉野家より家柄の良い人は、性格が悪く、小林博の十分の一にも及ばなかった。
吉野柔が映画を見ている時、携帯が二回振動した。開いてみると、矢崎美緒からのメッセージだった。【柔、小林お兄さんと遊びに行ったって本当?】