小林博は続けて言った。「君も知っているように、私は福井昭美との婚約を解消したんだ。好きな人に出会えなければ一生独身でいようと思っていたけど、思いがけず、また一人の女性を好きになってしまった。」
「誰なの?」吉野柔は急いで尋ねた。
小林博は愛情を込めた眼差しで、ゆっくりと吉野柔の顔に近づき、彼女の目を見つめながら、「本当に気づかないの?」
吉野柔は恥ずかしそうに瞬きをして、「直接言って欲しいわ。」
まさか自分のことなのだろうか?
小林博はゆっくりと言った。「私は君が好きだよ、柔。」
彼は真っ直ぐに吉野柔を見つめ、その目には限りない熱意が込められていた。
二人は近くに寄り添い、鼻先がほとんど触れそうになっていた。
吉野柔は頬を赤らめ、呼吸も乱れ始め、視線を逸らして彼と目を合わせることができなかった。
小林博は続けた。「君を見るたびに、心が温かくなるんだ。君の純粋さと優しさに抗えない。君と一緒にいたいと認めざるを得ない。」
吉野柔は耳まで真っ赤になった。
彼女の心には動揺が湧き上がり、相手に応えたいと思った。
小林博は頭を下げ、素早く彼女の唇にキスをし、巧みに舌で彼女の唇をこじ開けた。
吉野柔は心臓が激しく鼓動し、頭が真っ白になって、まともに考えることができなかった。
しばらくして、やっと我に返り、目の前の人に応え始め、二人は激しく抱き合いながらキスを交わした。
どれくらいの時間が経ったのか分からないが、ようやく二人は離れた。
吉野柔は小声で恥ずかしそうに言った。「私のことを気に入ってないと思ってたわ!」
小林博は愛おしそうな表情で反論した。「そんなはずないだろう?以前君を拒んでいたのは、婚約があったからだよ。クズ男になるわけにはいかなかった。今は君のことが好きになったから、積極的に動くんだ。」
「うんうん!」吉野柔は嬉しそうに男性に抱きついた。「明日もまた会いたい。」
小林博は頷いた。
吉野柔を送り届けた後、小林博は別荘に戻るとすぐにバスルームに駆け込んでうがいを始め、顔には嫌悪感が浮かんでいた。
演技のためでなければ、吉野柔にキスなどするものか。
本当に吐き気がする。
……
その後数日間、矢崎粟たち三人は外出して遊んでいた。