905邪術

彼女はスピーカーをオンにすると、矢野常の声がリビングに響いた。「粟、森田廣が今日会社で仕事中に突然倒れて痙攣し、血を吐いたんだ。何か邪術にかかったんじゃないかと思うんだ」

矢崎粟と藤田川は目を合わせた。

藤田川が言った。「行ってきなよ、僕はここにいるから」

「うん!」

矢崎粟は頷き、電話に向かって言った。「住所を私の携帯に送って。すぐに行くから、それまで彼の面倒を見ていて」

「分かった!」矢野常は即座に答えた。

小島一馬は矢崎粟を見て尋ねた。「一緒に行った方がいい?」

矢崎粟は首を振った。「ちょっと見てくるだけだから、すぐ戻ってくるわ。みんなはここにいて!」

「私も一緒に行く!」矢野朱里も立ち上がった。

兄も来ているし、森田廣は元カレだし、見に行かないなんてこの数日間の寂しい日々が報われない。