山本澄夫は矢崎粟の側に歩み寄り、彼女の手を取って、「粟姉さん、一緒に住みたいです」と言った。
矢崎粟は微笑んで、「いいわよ、私は大きな別荘を持っているから、山本風尾お兄さんと一緒に来ても構わないわ」と答えた。
「うん!」山本澄夫は嬉しそうに笑い、やっと子供らしい喜びの表情を見せた。
矢崎粟は藤田川に向かって尋ねた。「藤田師兄、魂を乗っ取られる可能性を完全に防ぐことができる丹薬はありませんか?」
そうすれば、周りの人々が南鹰に支配されることを心配する必要がなくなる。
結局のところ、南鹰の門主はまだ生きているのだから。
藤田川は目を輝かせて、「それはいい考えだね。確かにそのような薬丸を開発することは可能だ」と言った。
もしそれができれば、まず玄学管理所の人々に服用させることができる。
「よし、東京に戻ってから開発しましょう」と矢崎粟は言った。
小島一馬が尋ねた。「南鹰派の門主がまだ生きているなら、どうやって殺すことができるんだ?」
矢崎粟は答えた。「彼の本拠地、つまり元神が隠れている場所を見つけなければなりません」
元神を滅ぼさない限り、聖血は不死身のままだ。
藤田川もうなずいて、「いくつか手がかりはある。早く彼の本拠地を見つけられることを願おう」と言った。
数人で数日後の東京への帰路について話し合った。
夜。
矢野朱里は矢崎粟にメッセージを送った。【粟、いつ帰ってくるの?会いたいわ。藤田師兄の小道士が一日に八百回も聞いてくるから、耳にタコができそう】
この旅は危険が伴う。
だから、藤田川は小道士を連れて行かなかった。
小道士は矢野朱里の側にいて、お茶を入れたり水を注いだりしていた。
矢崎粟はその光景を思い浮かべ、目に笑みを浮かべながら返信した。【もうすぐよ。三日後の飛行機のチケットを買ったから。小道士に心配しないように伝えて】
矢野朱里は返信した。【師匠が帰ってくるまで、彼は心配するのをやめないと思うわ】
その小さな子は、本当に心配性だ。
でも矢野朱里は彼のことが結構気に入っていた。
三日後。
矢崎粟たち五人は飛行機に乗り、数時間後、ようやく東京に到着した。
別荘に着くと、山本風尾と山本澄夫は口を開けたまま、声を揃えて「すごく豪華だ!」と叫んだ。