903 退任

舞台の上で、山本風尾は手を振り、「皆さん、私は一人の人物を推薦したいと思います。その人物とは山本金久おじさんです。今回、彼は私たちの全ての書籍と図面を守り抜きました。工匠の里の功労者として相応しい人物です!」

彼が舞台下を見ると、山本金久おじさんは慌てて首を振っていた。「いけません、私は管理なんて全くできません、無理です。」

彼は以前図書館の管理人でしたが、足が不自由になってからは通りの清掃員となり、族長になることなど考えたこともありませんでした。

山本風尾は言った。「山本金久おじさんは徳が高く、また大きな功績を立てました。皆さんにはよく考えていただきたいと思います。これから投票を行いますので、山本金久おじさんを族長にしたい方は、投票用紙に記入してください。」

30分後。

広場で投票が始まった。

最終的に、山本金久は臨時族長に選ばれた。

山本金久は壇上で挨拶をした。「まず、皆様の選出に感謝いたします。私は里の管理を全力で務め、山本風尾族長が戻ってくる日まで頑張ります。」

会場から大きな拍手が沸き起こった。

呪術師の里と玄学管理所は広大な区域を一時的に提供し、工匠の里の人々の仮住まいとした。

この日、呪術師の里は矢崎粟たち三人を宴会に招待した。

矢崎粟が入ってくると、藤村敦史は喜色満面で彼女と後ろの二人を招き入れ、藤村慎一も笑顔を浮かべていた。

席に着くと、藤村敦史は酒を注ぎ、矢崎粟に謝罪した。「矢崎さん、前回の宴会での冷淡な態度は演技でした。私たちは南西地方に異変があることを早くから察知していましたが、事を荒立てないようにしていたのです。どうかお許しください。」

矢崎粟は微笑んで、「気にしていません!」

藤村慎一は部下に一連の宝物を持ってこさせた。「藤田大師、東京にお戻りになると聞きました。これらをお持ち帰りください。私たち呪術師の里からの些細な心づけです。」

藤田川が断ろうとした時。

矢崎粟は笑って、「ありがとうございます。では住所をお伝えしますので、東京の私の別荘に送っていただけますか?私たちが運ぶのは不便ですので。」

「もちろんです!」藤村慎一は急いで頷いた。

矢崎粟たち三人が最初に来た時は、藤村慎一はここが自分たちの領域だと思い、矢崎粟に対してそれほど丁重である必要はないと考えていた。