小林美登里は怒りで携帯電話を床に投げつけ、怒鳴った。「全部役立たずだ。肝心な時に誰一人として話を聞いてくれない。あの子たちを産んだことを本当に後悔している。生まれた時に殺してしまえばよかった」
彼女は怒りで頭がくらくらし、また気を失った。
幸い料理人が戻ってきて、ソファーで倒れている小林美登里を見つけ、すぐに病院へ連れて行った。
病院に送った後、料理人は家族の息子たちに電話をかけた。
しかし、誰一人として小林美登里を見舞おうとする者はいなかった。
小林美登里が目を覚ますと、病室がガランとしていて、心中穏やかではなかった。「四人の息子がいるのに、誰一人として私を見舞いに来ない!」
彼女は怒りのため息をつき、無力に病床に横たわった。
さらに三日が過ぎた。
矢崎美緒は治安の悪い小さな国に送られ、少しのお金を与えられただけで、あとは自力で生きるよう言い渡された。
その日の夜、小林博は仕事を終えて部屋に入った。
彼はベッドに横になり、吉野柔を抱きしめながら話をした。
なぜか、彼の脳裏に突然矢崎美緒の顔が浮かび、体に強い欲望が湧き上がった。
彼は矢崎美緒が欲しくて、彼女とベッドを共にしたいと思った。
小林博は自分が疲れているだけだと思い、吉野柔を抱きしめてキスをし、そんな考えを追い払おうとした。
しかし予想外にも、吉野柔にキスしようとした時、心の中で突然嫌悪感が湧き上がり、何か不潔なものに触れたような感覚があった。
この感覚は突然現れ、小林博は思わず吐き気を催した。
吉野柔は尋ねた。「博さん、どうしたの?最近寒くなってきたけど、胃を冷やしてしまったんじゃない?」
小林博は首を振った。「大丈夫だよ、ちょっと気分が悪いだけだ」
彼はすぐにベッドから降り、浴室に入って冷水を浴び、その欲望を抑えた。
真夜中、彼は夢の中で矢崎美緒とベッドを共にした。
小林博が目を覚ますと、眉をひそめ、どこかおかしいと感じた。彼は元々欲望に溺れるタイプではなかったので、何か変だと思った。
小林博は細かく考え始め、突然あることを思い出した。
数日前、個室で矢崎美緒が彼の耳にムカデがいると言った時、確かに耳の中で何か動くような感覚があった。
それは何かが彼の耳から脳や体内に入り込んだような感覚だった。