この徐という名のお爺さんに対して、景雲昭はなぜか親しみを感じていた。彼は冷たい言葉を使うものの、悪い人ではないと感じていた。前世で出会った人々のように、表面上は笑顔を見せながら、心の中は毒を持っているような人とは違っていた。
「ありがとうございます、徐伯父さん。これからも必ず時間通りに来て勉強します」景雲昭は口角を上げ、穏やかな笑顔を浮かべて言った。
「それならば、今日はこの本を全部暗記してから帰るんだ!」徐お爺さんは容赦なく一冊の本を投げ渡すと、すぐに部屋を出て、景雲昭を倉庫に閉じ込めてしまった。
この倉庫は十分明るく、本を開いてみると、薬材の栽培と収穫に関する内容だった。
本はそれほど厚くはなかったが、普通の人が休まず暗記しようとしても、少なくとも一、二日はかかるだろう。
しかし、景雲昭は霊玉を吸収してから記憶力が格段に良くなっていた。図解付きの本を見ながら、しっかりと閉まった扉を見つめ、仕方なく腰を下ろすと、誰もいないうちに空間に入り、落ち着いて暗記を始めた。
空間の中では、時間の流れがずっとゆっくりだった。
彼女が全て暗記し終えた時、外では三時間以上が経過していた。
ドアをノックすると、しばらくして薬材を受け取る男が来て、ドアを開け、本を回収すると、すぐに言った。「出たいなら、まず暗記したものを聞かせてもらおう」
この師弟に対して、景雲昭は言葉を失った。
しかし相手も善意でやっているのだから、景雲昭はすぐに暗記した内容を口述し始めた。
二百ページ以上の本を暗記するのは大変な作業だったが、その弟子は細かく聞き取り、一文字も聞き逃さなかった。時々聞き取れなかった部分は丁寧に確認し、景雲昭の答えが正しいことを確認してから、やっと解放してくれた。
景雲昭は適当にごまかすような人間ではなく、学ぶと約束した以上、真剣に取り組んでいた。
暗記が終わった頃には、空はさらに暗くなっていた。
「一文字も間違いなし。もう帰っていいぞ。これからも時間通りに来るように。これが今日の薬代だ」その弟子は師匠よりもさっぱりした性格で、薬の説明を終えると、同じように立ち去った。
景雲昭の手には、数千元のお金が握られていた。
昨日の収入と合わせると、すでに一万元を超えていた。このような稼ぎ方は、前世では想像もできなかった。