第56章 薬でも飲み間違えたの？

蕭海清は今日、黒いコートを着て、髪を結い上げ、白い肌には化粧を施していないものの、その雰囲気は随分と大人びて見え、几帳面で潔い印象を醸し出していた。

「今、お金を引き出してきたから、少し遅くなってしまった。葉青たちは来ているの？」景雲昭は眉を上げて尋ねた。

蕭海清は口を尖らせ、「もちろんよ！彼らは早めに来て、今はホールにいるわ。そうそう、さっき入ってきた時に私に言付けてたわ。私たち二人が足りないなら、追加で料理を注文してくれるって」

なんて人なの！

蕭海清の本意は単純で、葉青と優劣を競う気はなく、ただ景雲昭も侮れない存在だと伝えたかっただけだった。でも、この葉青は気が強すぎて、ここ数日陰で皮肉を言い続けている。彼女と景雲昭はあまり気にしていなかったが、相手は本当にしつこい！

「彼女が追加の料理を出すと言うなら、その通りにすればいいじゃない？さあ、二階に上がりましょう」景雲昭は蕭海清の手を引いて、奥のガラスドアへと入っていった。

蕭海清は景雲昭のこの態度に戸惑い、少し呆然としていた。

景雲昭はこんなに熱心な人じゃないはずなのに？今日はどうしたの？家で...変な薬でも飲んだ？

この時、景雲昭は笑みを浮かべ、全体の雰囲気が少し変わっていた。強い自信に満ち、口角の弧は青春と陽気さに溢れ、以前のような死んだような冷淡さはなかった。

これはすべてあの三百万がもたらした効果だ。

もちろん、景雲昭はこの収入に満足してはいなかった。ただ、新しい世界の扉が開かれ、自分は最も輝かしい場所に向かって努力すべきだと漠然と感じていた。

前世では彼女はずっと暗闇の中で生きており、お金や愛する仕事に触れる機会がなかった。しかし、天は彼女にやり直すチャンスをくれた。

彼女には空間という反則級のチートアイテムがあり、転生してからまだ短い時間だが、人生は以前とは大きく異なっていた。以前は自然に生きて、前世より良い生活を送れればいいと思っていたが、今日、その考えは変わった。

三百万だけでは、全然足りない。

彼女が望むのは、本物の人生、無限の可能性に満ちた人生だ。

一度死んだ身なのだから、もう怖いものなんてない。