第62章 緊急治療

楊甜甜の目の怪我は軽くはなく、早急に処置しなければ、必ず大きな後遺症が残るだろう！

それに、目の怪我だけでなく、額の傷も小さくない。救急車が来ても、まず最初に額の出血を処置することになり、目の治療は後回しになってしまうだろう。

「救急車は呼んだの！？」蕭海清は現れるなり慌てて尋ねた。

「海清、隣に薬局があるから、赤石脂末とトウキ末を買ってきて！急いで！」景雲昭は急いで指示を出し、慌てているウェイターの方を向いて「新鮮な豚肉を持ってきてください、緊急で必要なんです！」と言った。

蕭海清は景雲昭の意図は分からなかったが、彼女の指示に不思議と従うことにした。香海樓の隣には薬局があり、すぐに走って向かった。

ウェイターは躊躇していた。「救急車がもうすぐ来ますが……」

この学生がこんなに大きな怪我を負って、自分にも責任があるはず。もしこの奇妙な女性のせいで症状が悪化したらどうしよう？自分には責任が取れない……

景雲昭は彼らの考えは理解できたが、この時は怒りの方が大きかった。

「早く！彼女の目に何か問題が起きたら、あなたが責任を取れるの？」景雲昭は冷たい声で怒鳴った。

その迫力に皆が驚いた。楊甜甜はすでに痛みで気を失っていた。

人の反応は嘘をつけない。目の怪我が軽ければ、楊甜甜はすぐに目を押さえることもなかっただろう。それに、目は最も繊細な部分なのだ。

「彼女の言う通りにしなさい」皆が呆然としている中、見知らぬ磁性のある声が響いた。

景雲昭はちらりと目を向け、桃の花のような目と合ったが、一瞬のことですぐに視線をそらし、その顔の容姿さえ覚えていなかった。

その見知らぬ男性の一言で、ウェイターは不思議なほど素直に厨房へ向かった。景雲昭はようやく安心した。

蕭海清は素早く、2分もしないうちに景雲昭が求めた物を持って戻ってきた。ウェイターが豚肉を持ってくると、景雲昭は記憶の中の手順通りに、二種類の薬末を豚肉に練り込み、楊甜甜の突出した眼球の上に当てた。

彼女の眼球は少し突出していたので、優しく押し戻す必要があった。しばらくすると、目から毒血が流れ出てきたのを見て、景雲昭はようやく安堵の息をついた。

しかし、先ほどの咄嗟の治療行為を思い返すと、景雲昭も感心せずにはいられなかった。