二人は車に乗り、しばらくすると団地の入り口に停車した。団地は規模が大きくないものの、とても静かで環境も良かった。団地に入って数歩歩くと、向かいから一人の女性が歩いてきて、老人を見るなり、すぐに駆け寄ってきた。
「甘先生、やっと来てくださいました。義母がお待ちしているんです…」女性は慎重に言った。
この女性は三十代前半に見え、髪は乱れ、服装も簡素でゆったりとしていた。近づくと油煙の匂いが漂ってきて、普段から台所仕事をよくしているのだろう。
「行きましょう」甘旦那さんは彼女を一瞥し、首を振って、奇妙な表情を浮かべた。
景雲昭はまだ状況が飲み込めていなかったため、当然口を開かなかったが、その女性は彼女に気付き、目に驚きの色が浮かんだ。「お孫さんですか?」
老人はうなずいた。