第311章 裏切り

蔣お母さんは一目見て、怒り狂いそうになった。「この生意気な女!十万元で手紙と交換するって約束したのに、こんな裏切り行為をするなんて!」

なんてひどい女なんだろう。まだ十六、七歳なのに、こんなにも腹黒いなんて!

「蔣叔母さん、言葉遣いに気をつけてください」景雲昭は携帯を引っ込めながら続けた。「あなたたち相手には、一手残しておかないと、これからどんなことが起こるか分かりませんからね。ほら、今まさにその効果が出ているでしょう?」

他の人なら約束を信じたかもしれないけど、蔣夏は……

前世では彼女は蔣夏の追求を受け入れなかったけど、彼は執拗に追いかけ続けてきた。彼がどんな人間か分からないはずがない。

それに、蔣夏がラブレターを書いた時に見逃してあげたのは、一つにはその件が体面を汚すものだったから。もう一つは、その時既に蔣夏を殴り倒していて、もし傷害事件になったら、自分に正当性がなかったからだ。

でも今は違う。蔣夏の怪我は完全に治っていて、跡形も残っていない。

体面や恥ずかしさ?結局、誰がより恥ずかしい立場なのか?

彼女は蔣夏の追求を受け入れなかったし、自尊心も保っていた。今この件を学校に持ち込んでも、彼女には何の影響もないはずだ。

この時、蔣家の母子は一瞬にして萎縮した。

蔣家には蔣夏という一人息子しかいない……

「景雲昭、やり過ぎるのは良くないわよ。私たちを追い詰めすぎると、何をするか分からないわよ!」蔣お母さんは歯ぎしりしながら言った。

蔣夏はこの時既に呆然としていて、頭の中は自分が書いたラブレターの内容でいっぱいで、どうすればいいか分からなかった。

蔣家は彼の尻拭いに、決して少なくない金を使ってきた。

このラブレターの件で十万元、その後店で問題が起きた時も、誰かが蔣夏の安全を人質に取って蔣お母さんを脅し、六十万元の損失を出した。それだけでなく、以前蔣夏が喬紅葉と付き合っていた時も、喬尉民が騒ぎを起こし、蔣家は喬尉民の口を封じるためにある程度の金を出さなければならなかった。

要するに、蔣夏が高校に入学してから、お金は水のように他人のポケットに流れ込んでいった。

蔣家はお金持ちとはいえ、どんな家でもこんな大盤振る舞いには耐えられない。