広間の中で、崔家の父子二人は正座をして、孫顏は傍らに呆然と座っており、明らかに崔家の父子とは場違いな様子だった。
景雲昭が来ると、崔占先は直ちに出迎えた。「景お嬢様!」
作り笑いを浮かべて。
景雲昭は足を止めた。「どうして、孫お嬢様と崔坊ちゃんはまだ帰っていないの?契約書はとっくに署名済みでしょう。私が勝ったら、すぐに私の目の前から消えることになっていたはずよ。違う?」
童彥から聞いた話では、紀姍姍の兄が追い出された時、崔均は随分と威張っていたそうだ。今度は自分の番になったら、急に弱気になったというわけか?
景雲昭の言葉が終わるや否や、崔占先は憤りを抑えながら言った。「景お嬢様、人は情けを持って接すれば、後々良い関係が築けるものですよ。そうは思いませんか?私も認めます。昨日この二人の子供たちが間違った判断をして、あなたと勝負をしてしまいました。しかし、勝負は既に終わり、あなたは名声を得られたのですから、それで十分ではありませんか?我が崔家には崔均一人しか息子がおりません。もし彼が今後薬剤師になれないとなれば、崔家の伝統が途絶えてしまうのです。」
「それが私に何の関係があるの?」景雲昭は態度を崩さなかった。
崔家の伝統が途絶えようが、一族が断絶しようが、自分には関係ないではないか?
崔均が自分から事を起こしたのに、崔家のことまで考えなければならないの?彼女は紀姍姍とは違う。そんな男のために面子を捨てるほど愚かではない。
「景お嬢様は利益が足りないとお考えですか?では、十万差し上げましょう。あの契約書を破棄して、今回の勝負は無効だと公表していただければ……」
「私は高価な人參一本を出せる身なのよ。その程度の十万が必要だと思う?」景雲昭はますます可笑しくなった。
崔お父さんは歯を食いしばった。「薬草園の使用権が欲しいのでしょう?承諾していただければ、私が後の試合に勝った際には、薬草園の使用権の半分をお譲りしましょう……」
実際のところ、この所謂薬草園の使用権というのは、結局はお金の話だった。
今回の薬会で勝利した者は、この薬草園からの収入の一部を得ることができる。そこで採れる薬材にしても、売り上げた金銭にしても、全て勝者のものとなる。もちろん、薬草栽培者への費用は差し引かれる。