第372章 令嬢の育て方

紀姍姍は自分がなぜか分からないけど、景雲昭についていきたいと思った。ただ、家に帰りたくなかっただけだ。

彼女の部屋には崔均の写真や、彼の好きなもの、使っていたものが置いてある。今帰っても、それらをどう処理すればいいのか分からない。以前のように、崔均に謝ってしまいそうで怖かった。

あれこれ考えた末、景雲昭を探し出すことにした。

かつて嫌いでもあり、尊敬もしていたこの人が、どんな生活を送っているのか知りたかった。あるいは、自分の気を紛らわせたかったのかもしれない。

以前からネットで景雲昭のことを知っていて、県立第一中学校に通っていることは分かっていた。だから荷物を持って学校まで来て、校門の前でしばらく待ち、何人かに聞いてみた。案の定、彼女の名前は有名で、毎日温馨花園という団地から通っていることを多くの人が知っていた。

そこで、団地の入り口で待つことにした。

長い時間待って、足がしびれるほどだった。

幸い、努力が実を結んだ。ただ、おかしなことに、また景雲昭に寧市まで連れて来られてしまった。

紀姍姍は人見知りというわけではないが、幼い頃から甘やかされて育ったため、見知らぬ環境にも抵抗がなかった。すぐに蕭海清が住む三階を隅々まで見て回った。

「環境はいいけど、この部屋に置いてあるものって、あなたの好みなの?変すぎる!」紀姍姍は不思議そうな顔で言った。

クローゼットには可愛い服がいっぱいだったが、デザインが派手すぎて蕭海清には似合わない。部屋はピンク色で、ぬいぐるみがたくさん置いてあり、可愛らしすぎた。その他に本棚があり、そこにある本を見て彼女は目を丸くした。

『令嬢の育て方』、『淑女の心得』、『気品の磨き方』……

こんな本は自分では読まないのに、蕭海清のような女の子が毎日研究しているなんて。

あまりにも衝撃的だった。

蕭海清は口を尖らせて言った。「全部うちのおばさんが買ったの」

「おばさん?お手伝いさん?」紀姍姍は無邪気に聞いた。

蕭海清は吹き出して笑った。「父の新しい奥さんよ」