第453章 黒白を転倒する

この光景はまるでSF映画のようで、バンの運転手も呆気に取られていた。助手席に突然現れた少女は冷たい目で彼を見つめ、次の瞬間にも首を絞めそうな様子だった。

すぐさま、バンは路肩に停車した。

運転手は三十代くらいで、後部座席には子供を抱いた女がいた。相手は緊張した面持ちだったが、どうすることもできず、車を降りて話し合うしかなかった。

景雲昭は宙を飛んで窓を叩き、多くの人々の注目を集めた。その男は車から降りるなり、すぐに無実そうな顔で景雲昭に言った。「お嬢さん、どうしたんですか?そんな危険なことをしてはいけませんよ。」

相手の態度は悪くなく、むしろ心配しているように見えた。

景雲昭はその女性が抱く子供を見つめ、冷たく言った。「その子供を返しなさい。」

相手は心臓が「ドキッ」として、不安と恐れを感じた。

このような事は初めてではなく、毎年の祝日の時期が最も騙しやすく、少し変装すれば人目を欺くことができた。これまで失敗したことはなかったが、今回は一人の少女に追いかけられるとは。

「あ、あなた何を言っているの?私の息子に何をしようというの?」相手は緊張して言った。

「あなたの息子?この子はさっき広場の通りで奪ってきた子じゃないの?」景雲昭は冷たく言った。

周りの人々は彼女の言葉を聞いて驚き、皆その子供を見つめた。その子供は唇が赤く歯が白く、ふっくらとした可愛らしい顔をしていたが、頬には涙の跡があり、可哀想そうに見えた。口を尖らせ、怯えた様子だった。

本当に誘拐された子供なのだろうか?

「お嬢さん、でたらめを言わないでください!これは私の息子です。どうして誘拐された子供だなんて言うんですか?善意のつもりかもしれませんが、人を誹謗してはいけません。見てください、息子がどれだけ怯えているか!」男は突然怒鳴った。

その怒鳴り声に、小さな男の子は震えだし、話すことさえできなくなった。

「待っていなさい。警察に通報して、両親にも来てもらいます。そうすれば全てはっきりするでしょう。」景雲昭は携帯電話を取り出した。

相手はそれを見て、顔色が変わり、次の瞬間すぐに子供の側に屈んで抱きしめ、「大丈夫だよ、息子。パパが悪い人を追い払ってあげるからね…」と言った。