第490章 運命の辛さ

鐘清は世界が崩れ落ちるような気がして、なぜ自分がこんなに不幸なのか分からなかった。

両親は彼女が中学生の時に亡くなり、弟たちと一緒に叔母の家に住むしかなかった。叔母の家のいとこたちは、いつも彼女たちが厄介者だと思っていて、彼女をいじめていた。彼女はいつも善意で行動していたのに、彼女たちは理解してくれず、何をしても間違いだと言われた。

あんな恐ろしい経験をした後、やっと優しい叔父が引き取ってくれて、やっと一息つけると思った時に、楚楚といういとこまでが自分を快く思っていないことが分かった。

でも以前の楚楚はこんな風ではなかった。きっとこの意地悪な妹が何か言ったに違いない。だから誤解されて、嫌われ始めたのだ。

ただ、楚楚は叔父の一人娘で、彼女の言うことは叔父がよく聞き入れる。そのうち自分は追い出されてしまうのだろうか?

「楚楚……この妹の言うことを信じないで。私は本当に何も悪いことはしていないの」と鐘清は続けた。

蘇楚は突然顔を赤らめた。

このいとこと自分は全く違う波長にいることに気づいたからだ。

来る途中、景雲昭と蕭海清にいとこは綺麗で優しくて可愛いと褒めていたのに、こんな時に……

「清お姉さん!でたらめを言うのはやめてください!陳お爺さんに謝ってください、早く!薬材には触れないでください。これからも国医のことをそんな風に貶めないでください。そうでないと、私が両親に頼んで別の仕事に変えてもらいますよ!」蘇楚は慌てて言い、彼女が理解できないといけないと思い、特に声を大きくして、丁寧に繰り返した。

鐘清はびくっとした。「ど、どうしてこんな……いとこ……」

「そ、それなら謝ればいいでしょう……陳医師、申し訳ありませんでした。怒らないでください。あの家族が急いでいたから薬を取ったんです。私は善意で……」と、まだ説明を続けようとした。

蘇楚は顔が暗くなった。

恥ずかしい限りだ。鐘清がこんな人だったなんて。

でもよく考えてみれば、二日間一緒に過ごしたとはいえ、食事の時以外はほとんど会わなかったから、彼女のことを理解していなかったのも無理はない。