第496章 誰が厚かましいか

蘇楚の一声の怒鳴り声で部屋は静まり返り、蕭海清も彼女を驚いて見つめた。蘇楚は弱々しい女の子だと思っていたが、今見ると、どんなに優しい人でも鐘清のような極端な人に出会えば爆発するものだ!

「楚楚、私はただ叔父さんと叔母さんに一言言いたかっただけよ。私は間違ってないわ」と鐘清が言った。

蘇楚はすぐにイライラし、完全に逆上した。また間違ってない?なぜ彼女はいつも自分が正しいと言い張るの?

彼女はこれまでこんなに理不尽な人を見たことがなかった。自分中心で、自分の利益のために何でもやりたいようにやり、人の物を取っておきながら、まるで自分が大きな不当な扱いを受けたかのように振る舞う!

蘇楚は怒りながら彼女を睨みつけ、テーブルの上の鐘清が持ち帰ろうとしていた花瓶を手に取り、鐘清の方向に向かって激しく投げつけた。「出て行け!」

「バン!」という音とともに、花瓶は鐘清の足元で粉々になった。

蕭海清は眉を上げた。「私に言わせれば、すぐに警察に通報すればいい。メモを残したとはいえ、家主の許可なしでは、それは窃盗よ!」

蘇楚はそれを聞いて、すぐに頷き、躊躇なく携帯を取り出して番号を押した。鐘清はそれを見て慌てふためき、その男性がタイミングよく言った。「お嬢さん、彼女にお金は返させます。それに、ここの物は一つも持ち出しません。これで許してもらえませんか」

「だめ!なぜ許さなきゃいけないの?!」蘇楚は怒りで鼻が痛くなるほどだった。生まれてこのかた、こんな理不尽な仕打ちを受けたことがなかった。

蘇楚が言い終わると、電話はすでに繋がっていて、急いで状況を説明した。鐘清はそれを見て、顔が真っ青になり、もはや他の物のことなど考える余裕もなく、その男性を引っ張って逃げ出した。

彼女の背中を見送りながら、蘇楚は口を尖らせ、散らかった床にどさりと座り込み、自分の髪をくしゃくしゃにした。整っていた外見は一瞬で乱れた。海清に向かって言った。「何ぼーっとしてるの?もうすぐ警察が来るわ。私たちの家がこんな状態なの見たら、あの子も大変なことになるわよ!」

蕭海清は口角を引きつらせた。「君にこんな図々しい一面があるなんて、今まで気づかなかったよ」