第507章 恥を晒す

パリンと鋭い音が響き、皆を驚かせた。鐘清は目を見開いたまま反応する間もなく、その患者の妻が罵るのを聞いた。「この厚かましい売女！よくも医者のふりをして私の夫を誘惑しようとするわね。私が殺してやる！」

そう言いながら、その携帯電話を景雲昭の手に押し付け、爪を立てて飛びかかってきた。

夫はこの時呆然としており、手を伸ばして止めようとしたが、その女は鋭く睨みつけた。「止めようなんて思わないことね！さっきあなたたち二人が目で合図を送り合っていたのを見なかったとでも思ってるの？あなたが具合悪くて病気じゃなかったら、とっくに清算してたわよ！」

彼女は目が見えないわけではない。さっき夫が彼女の気が付かないうちにこの女をじっと見ていたのを知っている。ただ、男が美女を見るのは生理的な本能だと分かっているし、どうせ彼女の前では心の中で思うだけで、実際に何かする度胸なんてないはず。それに今は夫が熱を出していて頭もはっきりしていないから、この時に彼と言い争いたくなかった。

でも今は違う。この忌々しい女は売女だったのだ！

それも帝享龍庭で働く売女！

最近多くの人から聞いた話では、その帝享龍庭の女たちは一人一人が狐のように魅惑的で、男たちは一度入ると喜んでお金を使い、たとえそれまで家庭を大切にする良い夫だったとしても、一度商談で入ると誘惑に負けない者はほとんどいないという。あそこは上品に言えばクラブハウスだが、下品に言えば売春宿、娼館なのだ！

今になってみれば、その噂は少しも間違っていなかった。この女を見てみろ、可哀想な振りをして弱々しく、一見おとなしくて分別があるように見えるが、実は下心しかないじゃないか！

夫は妻に怒鳴られて顔を真っ赤にし、さらに後ろめたさもあって、すぐに首をすくめた。周りの主婦たちが非難の目で自分を見ているのに気付くと、急いで妻の味方をして罵った。「さっきは本当に白衣の天使だと思ってたよ。注射をしてもらえば他の人も苦しまなくて済むと思ってたのに、まさかお前にそんな考えがあったとは。言っておくが、俺は家庭を大切にする良い夫だぞ。お前なんか俺の女房の百分の一にも及ばない。これからは恥さらしに出てくるな。たとえ裸で俺の前に立ったって、お前らみたいな汚い女には興味ないからな！」

景雲昭は眉を上げ、笑みを浮かべた。