第520章 ただの捨て駒

彼女は元々状況を知らなかったため、この男が彼女と蘇楚を別々の場所に分けることを心配していた。そうなれば蘇楚のことが気になって、自分だけ逃げることなどできず、危険な状況に陥る可能性が高かった。しかし今は違う。

この男は高台に隠れていたが、彼女が蘇楚に近づくことを止めなかった。

ただし、蘇楚を空間に連れ込むためには、まずこの男を確実に始末しなければならなかった。

空間の秘密は、決して生きている人間に知られてはならない。特にこのような毒蛇のような人物には。

景雲昭は周囲の密閉された壁と大きな錠を見渡し、冷たく笑った。万が一に備えて、まず蘇楚を空間に送り込んだ。彼女の体に爆弾が仕掛けられていたが、空間内には信号が届かず、すべての科学技術は機能しない。

瞬時に、気を失った人間が目の前から消え去った。