第657章 あなたに心配させたくない

江蓉の目に濃い驚きが閃いた。

最近彼女は医者に診てもらうこともなく、検査薬を買うこともなく、さらに妊娠の兆候も全くなかった。だから彼女の妊娠を知る唯一の方法は、以前蕭海清が彼女の脈を診た時だったはずだ。

「そうよ、彼女の医術は信頼できるわ。今では子供も一ヶ月以上になっている」蕭海清は笑みを浮かべた。

冷淡な表情は人の心を凍らせ、江蓉の心はさらに激しく震え、どうしていいかわからなくなった。

彼女が妊娠しているから、蕭海清は彼女を蕭道安のもとに戻らせなかったのか?

一ヶ月以上...この子が蕭道安のものなのか、それともジェームズのものなのか、わからない!

「なぜ今まで黙っていたの!あなたはずっと前から知っていたのに...」

「江叔母さん、もし私があなたに妊娠していると伝えていたら、あなたはすぐにジェームズを探しに行ったでしょう?私の父からはもう欲しいものは得られない。この子がいれば、ジェームズにあなたの未来を保証させることができる。でも、私があなたを行かせると思う?今となっては、ジェームズは自分のことで精一杯よ。彼は海洋商事にあれだけの金を投資して、今や全てを失った。だからあなたが彼を見つけても無駄なのよ」蕭海清の態度は冷たく硬かった。

「あなた...蕭海清、どうしてそんなに...意地悪なの!一体私にどうしろというの!」江蓉は叫び、困惑した表情を浮かべた。「この子を下ろさなければ...」

「それならどうぞ下ろしなさい。その子がいなくなれば、私の手にある物はネット上に公開されるわ。どうせ私はもう恥をかいたんだから、誰かに付き合ってもらうのも悪くないでしょう?そう思いませんか?」蕭海清は皮肉な笑みを浮かべた。そのとき、ドアベルが鳴った。

蕭海清は唇を引き締めて笑いながら立ち上がりドアを開けた。江蓉は雷に打たれたように、その場に硬直して立ちすくんでいた。

蕭海清のようになるのか?

絶対に嫌だ。

先ほどネット上の言論を少し見たが、全て蕭海清が****で品行方正でないと言っていた。自分も他人に罵られる対象になりたくない!

でももしそうなら、この子を産まなければならないのか?江蓉はお腹に触れ、複雑な心境に陥った。

そのとき景雲昭が入ってきて、蕭海清を見つめた。「自分の弱みが彼らの手にあることを前から知っていたの?なぜ私に言わなかったの?」