第041章:ヨウヨウは今正常なの?

「いいえ、いいえ」坂本のお母さんは慌てて断った。「ただの風邪で、大したことないのよ。あなたが心配するから言わなかっただけよ!」

「でも、おばあちゃんは……」坂本加奈は言いかけて止まった。おばあちゃんは病気なのに、自分に病院へ見舞いに来させてくれない。

「今日はあなたの20歳の誕生日よ。おばあちゃんのことで大きなお祝いはできなかったけど、誕生日を病院で過ごすなんて、おばあちゃんも辛いわ」坂本のお父さんは諭すように言った。「おばあちゃんがどれだけあなたを可愛がっているか、分かっているでしょう?今日は誕生日を楽しく過ごしなさい。どうしても心配なら、明日病院に行けばいいじゃない?」

坂本加奈は父の言葉に素直に頷いた。

昼には吉田美佳が会社で忙しくて帰れなかったが、坂本加奈は両親と一緒に食事をし、お母さんは手作りのケーキを、本田おばさんは長寿麺を用意してくれた。

坂本のお父さんとお母さんは、彼女が夜に友達と遊びに行くことを止めず、むしろクレジットカードを渡してくれた。

「お父さん、お母さん、もう誕生日プレゼントもらったから、このカードは受け取れません」坂本加奈はカードを返そうとした。もう両親のお金は使いたくなかった。

坂本のお父さんは強引にクレジットカードを彼女の手のひらに押し付けた。「バッグはお母さんからのプレゼント、このカードは父さんからの誕生日プレゼントだ。黒川さんはお姉さんの友達とはいえ、あの身なりや話し方を見ると、ただものじゃない家柄だ。あなたが向こうに住んでいる以上、お金がかかる場面も多いだろう。見下されるわけにはいかないからね」

相手があまりにも裕福で、加奈が居心地悪く感じたり、自尊心を傷つけられたりすることを心配していたのだ。

「お父さん……」

坂本加奈は向こうで暮らすのにお金はかからないと説明しようとしたが、坂本のお父さんに遮られた。「言うことを聞きなさい。それに夜に友達と遊びに行くのにもお金が要るでしょう!」

坂本加奈は真珠のような歯で桜色の唇を軽く噛みながら躊躇していると、坂本のお父さんは続けた。「今日は誕生日なんだから、思う存分楽しみなさい。欲しいものも食べたいものも、好きなだけ買って好きなだけ食べて。節約なんて考えなくていい。このクレジットカードの限度額は20万円だけど、足りなくなったら父さんに電話しなさい」