第045章:「私が殴ったのは犬だ、薄情な犬!」

「くそっ!林波留のあのむかつく女!」佐藤薫は坂本真理子が刑務所に入るかもしれないと聞いて慌てふためいた。「どうしよう?真理子さん本当に刑務所に入るの?お父さんお母さんに相談した方がいいんじゃない?」

佐藤薫の慌てぶりに比べ、林波留の去っていく背中を見つめる坂本加奈は落ち着き払っていた。唇を軽く上げ、「大丈夫よ、お兄ちゃんは刑務所には入らないわ」

「でも、林翔平のあのクズ野郎が真理子さんを追い詰めたらどうするの?」佐藤薫は不安そうに言った。

坂本加奈は彼女の手を握り、確信に満ちた声で言った。「私を信じて。お兄ちゃんは刑務所に入らないって言ったでしょう。絶対に入らないわ」

林翔平はひどく殴られていた。もともと整った顔立ちが青あざだらけで、体中に傷があり、腕も脱臼していた。