「行っちゃダメ!」
「絶対に行かせない!」
佐藤薫と坂本真理子が思わず同時に叫んだ。
坂本加奈は目を丸くして不思議そうに見つめた。なぜ二人の息がこんなにも急に合うようになったのだろう?
坂本真理子は眉をひそめ、珍しく真剣な表情を浮かべた。「女の子一人であんな怖いところに行くなんてダメだよ。もし何か危険なことがあったらどうするの?」
普段はどれだけ軽率でも、重要な時には冷静に判断できる彼は、坂本加奈が恐怖を感じることを望まなかった。
「でも——」
坂本加奈の言葉は佐藤薫に遮られた。「もう、あなたは黒川社長とメインクエストに集中して。サブクエストは私たちに任せなさい」
そう言いながら、彼女を黒川浩二の方へ軽く押した。
坂本加奈はよろめいて男性に体をぶつけた。黒川浩二は長い腕を伸ばし、彼女をしっかりと抱き留めた。