第088話:「私が行きましょうか?」

スタッフは、このような状況を何度も見てきたため、慣れた様子で優しく言った。「もう閉店時間なので、早く中に入ってください。何か問題があれば、インターホンで連絡できますから」

全員が同時に振り返り、入り口で一歩も動かない坂本真理子を見た。

坂本真理子は深呼吸をして、気軽な様子を装って言った。「ホラーな密室脱出ゲームなんて、何が怖いんだよ。俺は…」

ドアが閉まり、部屋は暗闇に包まれた。部屋の右上角に突然赤い光点が点滅し始めると、坂本真理子は「きゃあ!」と悲鳴を上げ、一番近くにいた人にしがみついた。「お化けだ!!!!」

黒川浩二「……」

坂本加奈「……」

佐藤薫は必死に自分にしがみついている手を振り払いながら、イライラした様子で言った。「あれは監視カメラよ!!密室脱出ゲームやったことないの?」

プレイヤーの安全とゲームの進行を確保するため、各密室には監視カメラが設置されており、スタッフがカメラの前でプレイヤーを監視し、事故や密室内の道具の破損を防いでいる。

黒川浩二は懐中電灯をつけ、赤い光点の方向に照らしてみると、確かに監視カメラだった。

坂本真理子はまず目を開け、光を見てから佐藤薫から手を離し、服を整えながら強がって言った。「俺は君たちの度胸を試していただけさ。なかなか…みんな勇敢だな…」

「ふん!」佐藤薫は彼を白い目で見た。明らかに怖がっているくせに、強がって!!

黒川浩二は坂本加奈を見下ろし、低い声で尋ねた。「怖くない?」

坂本加奈は首を振った。「怖くないよ、むしろ面白いと思う」

黒川浩二の深い瞳に賞賛の色が浮かんだ。この子、なかなか勇敢だな。

佐藤薫は以前何回か密室脱出ゲームをやったことがあり、ベテランだった。部屋の中を探索することを提案し、手がかりを解くことができれば部屋の明かりがつくと説明した。

坂本加奈はこれがとても面白いと感じ、まるで事件解決のように、ヒントに従って積極的に手がかりを探し、暗号を解読した。黒川浩二は彼女のそばにいて、常に懐中電灯で照らし、頭を使う必要がある時は一緒に考えてくれた。

佐藤薫は一人で探索しながら、時々坂本加奈と黒川浩二が一緒にいる様子をちらりと見て、心の中で叫んだ:身長差最高!うう、萌える!!!