坂本加奈は彼に公衆の面前で「奥様」と呼ばれて少し恥ずかしくなり、耳の後ろを掻きながら話題を変えた。「あのね...蘭ちゃんが密室脱出ゲームに誘ってくれたんだけど、時間ある?一緒に行かない?」
黒川浩二が答える前に、坂本真理子が不機嫌そうに言った。「密室脱出やりたいなら俺を誘えよ。なんでこいつを誘うんだ?あいつがそんなの遊んだことあると思うのか?できるわけないだろ?」
坂本加奈:「……」
お兄ちゃん、本当に恋愛の邪魔をする存在だわ。
黒川浩二は彼を無視して、薄い唇を開いた。「時間はある」
坂本加奈は密かにほっとして、「蘭ちゃんがもう場所を予約してくれてるから、直接行けばいいの」
坂本真理子は軽蔑した口調で言った。「お前、黒川氏の社長様が勤務時間中に密室脱出なんかして、それでいいのか?」