第087章:兄さん、あなたは私の恋愛の邪魔者ね。

坂本加奈は彼に公衆の面前で「奥様」と呼ばれて少し恥ずかしくなり、耳の後ろを掻きながら話題を変えた。「あのね...蘭ちゃんが密室脱出ゲームに誘ってくれたんだけど、時間ある?一緒に行かない?」

黒川浩二が答える前に、坂本真理子が不機嫌そうに言った。「密室脱出やりたいなら俺を誘えよ。なんでこいつを誘うんだ?あいつがそんなの遊んだことあると思うのか?できるわけないだろ?」

坂本加奈:「……」

お兄ちゃん、本当に恋愛の邪魔をする存在だわ。

黒川浩二は彼を無視して、薄い唇を開いた。「時間はある」

坂本加奈は密かにほっとして、「蘭ちゃんがもう場所を予約してくれてるから、直接行けばいいの」

坂本真理子は軽蔑した口調で言った。「お前、黒川氏の社長様が勤務時間中に密室脱出なんかして、それでいいのか?」

「私が毎日会社に座っていなければならないなら、君たちを雇う意味がないだろう?」黒川浩二は涼しい顔で切り返した。

坂本真理子は言葉に詰まったが、諦めきれずに言った。「じゃあ俺も行く!会社にはそんなに多くの人がいるんだから、午後半日くらい離れても潰れやしない!」

加奈を彼と二人きりで密室脱出なんかさせられるか、もし加奈に手を出されたらどうする!!!

黒川浩二:「……」

やはり彼をプロジェクト部に異動させて林翔平の邪魔をさせたのは正しい選択だった!!!

……

墨市最大の密室脱出施設。

佐藤薫は坂本加奈の隣に黒川浩二だけでなく坂本真理子もいるのを見て、すぐに嫌そうな顔をした。「なんで来たの?」

坂本真理子はポケットに両手を入れ、生意気な態度で答えた。「遊びに決まってるだろ!お前を口説きに来たとでも思ったのか?」

「ありがとうね!前世で宇宙を滅ぼしたぐらいの大罪を犯したから、あんたに口説かれるなんて目に遭うのよ!」

「どういたしまして。お前は前世で宇宙を滅ぼしたから、今世では俺様の愛を得られないんだよ!」

「あんた……」

二人が無意味な言い争いをしている間、坂本加奈は自ら前に出て適時に止めた。「あの、蘭ちゃん、あとどのくらい待つの?」

「ふん」佐藤薫は坂本真理子を睨みつけた後、坂本加奈の方を向くと笑顔を見せた。「私が予約したテーマは待つ必要ないわ。今すぐ入れるわよ」