黒川浩二の動きが一瞬止まったが、すぐに普段通りに戻り、何気なく話しかけた。「そんなに薬を飲まなければならないほど、深刻な病気なの?」
坂本加奈は体を強張らせながら疲れを感じ、ソファの背もたれに寄りかかってぐったりと答えた。「うん、とても深刻な病気だったの」
心に深刻な病を患い、命を落としかけた。
林翔平がいなければ……
カールした睫毛が震え、首を横に振った。もういい、彼のことは考えないようにしよう。
黒川浩二は解熱剤を取り出し、元気のない彼女の小さな顔を見つめながら、喉仏を動かし、低い声で言った。「今は治ったの?私は良い医者をたくさん知っているけど」
坂本加奈は乾いた唇を少し曲げて、「治ったわ」と答えた。
彼女を治してくれた理由がもう存在しないとしても。
夕食は胃に優しい粥で、さっぱりとした前菜が添えられていた。