第147章:「来てくれてありがとう」

「ずっと前からよ」すでに好きになっていた。

坂本加奈は恥ずかしそうに頬を覆い、銀の鈴のような可愛らしい笑い声を立てた。

黒川浩二は彼女の手を取り、唇に運んでキスをした。「君は?」

「え?」彼女は呆然とした表情を浮かべた。

「いつ頃から僕のことを好きになったの?父性コンプレックスじゃないって言ってたよね?」

「まだそのことを根に持ってるの」坂本加奈は蘭との電話で彼に聞かれた時のことを思い出し、とても気まずい場面だったと感じながら、指先で彼の胸をつついた。「私にもわからないわ。たぶん、ずっと前から好きだったのかも。でも、その時は林翔平と別れたばかりで、潜在意識の中で認めたくなかった。自分が浮気性に思えて...」

だって彼はとても優しくて、彼女のことをいつも気遣い、守ってくれる。好きになるのは難しいことじゃなかった。