第162章:プレゼント

坂本加奈は驚いて服を背中に隠し、慌てた様子で言葉を詰まらせながら「な、何もしてないわ!」と言った。

まずい、岩崎に変態だと思われちゃうかも?

黒川詩織は笑いを堪えながら「もういいわよ!隠さなくても、お兄さんの服だってわかってるわ。昨夜あなたたち……」

言葉が終わらないうちに、坂本加奈は急いで手を伸ばして彼女の口を塞いだ。「昨夜は何も起こらなかったの、本当よ!」

「でも、あなたたちは夫婦でしょう?何かあっても普通だし、むしろ何もないほうが変じゃない?」黒川詩織は口を塞がれたまま、声が籠もって聞こえた。

「えっと……」坂本加奈は手を引っ込め、目線を泳がせながら、どう答えていいかわからなかった。

弁解すればするほど、複雑になってしまう。

黒川詩織は察しの良い人で、深く追及しなかった。「お兄さんとあなたの間に何があったのかわからないけど、あなたが彼のことを好きなのも、彼があなたのことを好きなのもわかるわ」