黒川浩二は非難されても怒らず、むしろ笑顔で答えた。「プレゼントを買うって約束したから、ちょうど来てくれて良かった。自分で選べるよ」
坂本加奈は口を尖らせた。「あなたからのプレゼントなんて要らないわ」
黒川浩二の瞳に諦めの色が浮かび、彼女の耳元で囁いた。「怒らないで、次は優しくするって約束するよ」
彼女があまりにも魅惑的だったからだ!
坂本加奈は頬を膨らませ、少し迷った後で頷いた。「じゃあ、今回だけは許してあげる。でも次はダメよ」
「いい子だ!」黒川浩二は人目も気にせず、彼女の頬にキスをした。
藤沢蒼汰:「……」
くそ!何で俺は余計な心配してたんだ!!!
もう歯がゾクゾクするぐらい甘ったるい!!!
坂本加奈は顔を真っ赤にして、彼を睨みつけた。「人がいるでしょ!」
どんどん恥知らずになってきたわ!!
黒川浩二は熱い眼差しで彼女を見下ろした。「誰もいないよ。僕には君しか見えない……」
藤沢蒼汰:「……」
はっ、俺は人間じゃない、ただの独身犬ってことでいいんだな!!
坂本加奈:「……」
そんな目で見ないで、怖いわQAQ
白い手で彼の袖を引っ張り、心配そうな顔で言った。「浩二、前のあなたのままでいいの。鹿みたいになっちゃダメよ!」
誰を真似るのもいいけど、お兄ちゃんだけは……
あんなにナンパ臭いのはちょっと。
黒川浩二は口角を引き、指先で軽く彼女の額を弾いた。「変なこと言わないで……」
坂本加奈は痛そうに額をさすった。
……
黒川浩二は彼女にプレゼントを買うことに固執し、坂本加奈は説得できず、近くのショッピングモールに行くことになった。
数人のボディーガードが遠くから後をついてきた。
坂本加奈は服も欲しくなく、宝石やアクセサリーにも興味がなかったが、あるギャラリーの前で足を止めた。
ギャラリーの中央に一枚の絵が掛かっていた。日の出を見つめる少女と、その少女を見つめる少年が描かれ、美しく温かな画面だった。
坂本加奈は一目でその絵に惚れ込んだ。
黒川浩二は薄い唇を緩ませた。「この絵が気に入った?」
坂本加奈は頷いた。「うん、この絵は少し欠点はあるけど、画面が清潔で、作者がこの絵を描いた時、きっと愛に満ちていたのが感じられるわ」
黒川浩二はギャラリーの責任者を呼び、簡単な会話の後、藤沢蒼汰に支払いを指示した。