黒川浩二は立ち上がり、つま先を彼女に向けて、一歩一歩近づいてきた。
坂本加奈は思わず横に退き、足が引き出しを押し戻し、全身がガラスの扉に寄りかかった。
男性は頭を下げ、鼻先が彼女の鼻先に触れそうなほど近づき、低く掠れた声で——
「恥ずかしがることないだろう?俺は君の服を脱がせたことがあるんだから……」
坂本加奈は目を大きく見開き、恥ずかしさと怒りで、「あ、あなた、変なこと言わないで……んっ……」
言葉が終わらないうちに、黒川浩二は頭を下げて彼女の紅い唇にキスをした。
シャワーを浴びたばかりで、彼女は黒川浩二のボディーソープを使っていたため、体の香りが彼と全く同じで、瞳は洗い流したかのように澄んで輝き、美しさに目が離せなかった。
彼女は黒いシャツを着ていて、細くまっすぐな脚がシャツの下から伸びていた。白と黒のコントラストは、愛の味を知ったばかりの男性にとって、致命的な誘惑だった。
「何も着けてないの?」
息が絡み合う中、男性は彼女を挑発することを忘れなかった。
坂本加奈は深く息を吸い、ピンクの唇をきつく結んで黙っていた。瞳の奥には水面のような輝きがあり、無邪気でありながら妖艶だった。
黒川浩二は喉仏を動かし、薄い唇から愉悦の笑みがこぼれ、少女の耳元に唇を寄せて、「どうしよう?今夜は脱がすものがないね……」
軽薄な口調で、多情な公子のようで、端正で色気があった……
坂本加奈:「……」
浩二、本当にますます悪くなってきたわQAQ
黒川浩二は片手で彼女の細い腰を抱き、軽々と彼女を抱き上げ、唇を彼女の耳から唇へと移し、ベッドサイドテーブルの方へ向かった。
引き出しが開かれた......
***
翌日、坂本加奈は腰と背中の痛みの中で目覚め、隣の場所はすでに空いていた。
昨夜のことを思い出し、頬が熱くなった。
ひどく疑っているわ、意地悪な浩二は故意にやったんだわ、ふん╭(╯^╰)╮
階下に降りると、黒川浩二はダイニングテーブルで電話を受けており、彼女を見かけた時、片足を伸ばして軽くたたいた……
膝の上に座るように促した。
坂本加奈は彼を睨みつけ、隣の椅子に向かった。
家には使用人とメイドがいるのだから、こんな恥ずかしいことはしたくなかった。