学校への道で、坂本加奈は彼女の話を最後まで聞いたが、すぐには承諾せず、躊躇いながら言った。「それって本当にいいの?」
「会社は浩二が経営しているのよ。私たちは何もわからないのに、勝手に誰かを重用してもらうなんて、無理な要求みたいじゃない?」
「加奈、どうしてあなたまでお兄さんの味方するの?」
黒川詩織はすぐに焦り始めた。「お兄さんは森口花のことを知らないけど、あなたは分かるでしょう?彼は性格が良くて、一生懸命頑張る人なの。本当にいい人よ」
「本当にいい人なら、なぜあなたが浩二にお願いしなきゃいけないの?」坂本加奈は眉をひそめ、疑問を投げかけた。「これって裏口入学みたいなものでしょう!」
本当に実力のある人なら、裏口入学なんて軽蔑するはずじゃない?
「彼は私がお兄さんにお願いに来たことなんて全然知らないの」黒川詩織は口を尖らせ、指を見つめながら言った。「私は彼が会社に入って圧迫されるのを見たくないだけ。大企業ほど競争が激しくて、新人が頭角を現すのは難しいってことを知らないでしょう」