第235章：男女の別

安藤美緒は口に出かけた言葉を飲み込むしかなかった。「さっきまで泣き叫んでいたけど、今は少し落ち着いたわ」

黒川浩二は彼女について中谷陸人の部屋に入った。心温まる子供部屋は丁寧に飾り付けられており、部屋にはオレンジ色のフロアランプが灯っていた。

中谷陸人はベッドに横たわり、長い睫毛には涙の粒が残っていた。小さな顔は真っ赤で、明らかに長時間泣いていた様子だった。

物音を聞いて目を開けると、黒川浩二の姿を見つけ、すぐに泣きそうな声で「パパ——」と呼んだ。

両手を広げて黒川浩二に抱っこをせがんだ。

黒川浩二はしばらく躊躇してから、かがんで彼を抱き上げ、温かい手のひらを彼の額に当てた。

彼の額は手のひらよりも熱かった。

「まだ熱があるじゃないか！」

安藤美緒は頷いた。「物理的に熱を下げようとしているんですが、あまり効果がないんです」