坂本真理子「……」
犬が何を間違えたというのか?
いや、私が一体何を間違えたというのだ!
諦めきれず矛先を坂本加奈に向け、「いつも携帯ばかりいじって、食事も人に食べさせてもらって、四肢が退化した役立たずになっても知らないわよ!」
坂本加奈は顔を上げて彼を見つめ、心配そうな口調で「お兄ちゃん、更年期なの?」
坂本真理子は言葉に詰まり、「更年期なのはお前だろ、お前の家族全員が更年期だ!」
「私の家族はお兄ちゃんの家族でもあるでしょ」
坂本真理子「……」
坂本加奈は彼を無視し、黒川浩二が差し出したみかんを口に入れ、携帯をいじり続けた。
坂本真理子は無視されるのが我慢できず、さらに尋ねた。「誰とそんなに熱心にチャットしてるの?」
「蘭よ!」坂本加奈は顔も上げずに答えた。
佐藤薫が海外に行って時差があるため、チャットできる機会はそう多くなかったが、毎日一言でもメッセージを送り、相手が見たらすぐに返信するようにしていた。