「いいよ!」坂本加奈は少しの躊躇もなく、即座に答えた。
西村雄一郎の瞳に初めて笑みが浮かんだ。「じゃあ、そう決まりだな」
「ママ!」中谷陸人が走ってきて、空の星を指差しながら嬉しそうに言った。「ママを見つけたよ。本当に空にいるんだ」
坂本加奈は笑顔で頷き、彼と目線を合わせるために屈んだ。「うん、ママはずっと空から見守ってくれているの。だから、ちゃんとご飯を食べて、よく寝て、学校に行って、ママの言うことを聞いて大きくならないとね」
「うん!」中谷陸人は力強く頷き、すぐに彼女が抱えている絵に目が留まった。「わあ、これは何の絵なの?」
坂本加奈は頷いた。
中谷陸人はすぐに西村雄一郎の方を向いた。「お兄ちゃん、私のママの絵も描いてくれる?」
西村雄一郎のこめかみに青筋が立った。「何がお兄ちゃんだ?おじさんと呼べ!」