第296章:それぞれの思惑

「いいね」三連打の詰問に、白川櫻は顔色を変え、歯ぎしりをしながら怒りを露わにした。「これがお母さんに対する態度なの!!」

西村雄一郎は彼女と一瞬目を合わせたが、謝罪せずに振り向いて坂本加奈に向かって言った。「先に帰りなさい。改めて謝罪させてもらいます。」

「結構です。」坂本加奈は顎を上げ、澄んだ瞳で断固として言った。「私を侮辱したのはあなたのお母様であって、あなたではありません。あなたが謝る必要はないし、代わりの謝罪なんて望みません!お母様にはっきり説明してほしいのは、私たちは普通の友人関係だということです。」

西村雄一郎の険しい目が一瞬暗くなり、喉仏が動いたが何も言わなかった。

結局、自分の母親が先に彼女を侮辱したのだから、彼女が怒るのは当然だった。

「あなたに描くべき絵は描き終わったら宅配便で送ります。これからは連絡も取らないでください。また理不尽に非難されるのは御免です。」