「いいね」三連打の詰問に、白川櫻は顔色を変え、歯ぎしりをしながら怒りを露わにした。「これがお母さんに対する態度なの!!」
西村雄一郎は彼女と一瞬目を合わせたが、謝罪せずに振り向いて坂本加奈に向かって言った。「先に帰りなさい。改めて謝罪させてもらいます。」
「結構です。」坂本加奈は顎を上げ、澄んだ瞳で断固として言った。「私を侮辱したのはあなたのお母様であって、あなたではありません。あなたが謝る必要はないし、代わりの謝罪なんて望みません!お母様にはっきり説明してほしいのは、私たちは普通の友人関係だということです。」
西村雄一郎の険しい目が一瞬暗くなり、喉仏が動いたが何も言わなかった。
結局、自分の母親が先に彼女を侮辱したのだから、彼女が怒るのは当然だった。
「あなたに描くべき絵は描き終わったら宅配便で送ります。これからは連絡も取らないでください。また理不尽に非難されるのは御免です。」
坂本加奈は言いたいことを言い終えると、すぐに立ち去った。
浩二が彼との接触を禁じたのも無理はない。彼の性格が悪いのに、母親の性格はもっと悪い!!
西村雄一郎は彼女の細い背中が遠ざかっていくのを見つめながら、体の横に下ろした手が思わず拳を握り締め、青筋を立てた。まるで胸の中の怒りが爆発しそうだった。
彼女は性格が穏やかで、めったに怒ることはない。こんな言葉を言わせるほど、母親はよほどひどいことを言ったに違いない。
「一体彼女に何を言ったんだ!」彼は振り向き、鷹のような目に怒りを滲ませた。
「あの子にあなたに近づかないように言っただけよ!」白川櫻は深く息を吸い、冷たい声で言った。「あの子があの人とどういう関係か、あなたも知っているでしょう。誰と関わってもいいのに、なぜあの子と関わるの?もし噂が広まったら……」
「それがどうした!」西村雄一郎は苛立ちながら母の言葉を遮り、目に赤みを帯びてきた。「それはあなたと彼の問題であって、僕には関係ない。僕と坂本加奈のことも、あなたたちには関係ない!」
「西村雄一郎!」白川櫻は彼を怒鳴りつけ、誰の息子なのかを思い出させようとした。
西村雄一郎は奥歯を噛みしめ、冷たい声で言った。「とにかく、僕のことに口を出さないでください!会社にも絶対に入りません。」