坂本加奈の腕には大きな問題はなく、膝の怪我には医師が痛み止めと瘀血を取る薬を処方し、定期的に薬を塗布すれば良いとのことでした。
黒川浩二は坂本加奈のカルテを見て、完全に安心しました。
夜、坂本加奈は病院に残って彼の看病をし、月見荘には戻りませんでした。
翌朝は晴れた日で、坂本加奈は夜中に彼に迷惑をかけないよう、どうしてもベッドで寝ようとせず、ソファーで丸くなって一晩を過ごしました。
朝早くに目を覚まし、カーテンを開けて、外の日差しを見ながら深いため息をつきました。
「晴れましたね」
黒川浩二も彼女とほぼ同時に目覚め、彼女の細い姿を横目で見ながら、端正な顔に優しい笑みが浮かびました。「うん、晴れたね」
坂本加奈は振り返って彼を見ました。「朝ご飯は何が食べたいですか?買いに行きます」