第323章:追跡装置

黒川詩織が黒川グループを引き継いでから忙しくなり、詩織と過ごす時間が少なくなっていった。

坂本加奈は日常のリハビリ以外は特に何もすることがなく、よく詩織と食事をしたり、おしゃべりをしたりしていた。

詩織は自分のアトリエを整理しながら、加奈とおしゃべりをしていた。「テレビで見たんだけど、スマホにアプリを入れると他人の位置を追跡できるって本当?」

「そうよ!」詩織は彼女が興味を持っているのを見て、スマホを取り出して見せた。「私と森口花も使ってるの。彼が私にいつでも彼の居場所がわかるようにって」

「すごいね?」加奈は好奇心に満ちた瞳で彼女のスマホの赤い点を見つめた。「これが森口花のいる場所?」

詩織は頷いた。「そうよ、今は会社にいるわ」

少し間を置いて、また尋ねた。「お兄さんが外で何かあるんじゃないかって心配で、インストールしたいの?」