第326章:あなたはバカね

久兄さんは彼の視線を無視したかのように、凶暴な目つきで西村美香を睨みつけた。「俺たちは自分の取り分だけ取る!」

西村美香は冷笑した。「売女のくせに体裁を取り繕うなんて、いい人ぶってどうするの?女も金も欲しくないの?」

言葉が終わらないうちに、久兄さんは突然彼女の首を掴んだ。「その汚い口を引き裂かれたくなければ、黙れ!」

そう言って武の方を見た。「金を取れ。」

武は白く痩せた坂本加奈を名残惜しそうに見つめたが、兄貴の言うことを聞いて、西村美香のハンドバッグを奪い取った。

西村美香は顔色が険しくなり、この二人の無法者が自分の言うことを聞かないとは思いもよらなかった。

久兄さんは彼女を放し、武から受け取ったハンドバッグから現金の束を二つ取り出し、西村美香の顔に投げつけた。「俺たちは自分の分だけ取る!」

そう言って坂本加奈を一瞥し、冷たい声で言った。「行くぞ。」

西村美香との取引は人質を連れてくることだけだった。西村美香が人質に何をするかは彼の知ったことではなかった。

西村美香はテーブルにすがりながら、なんとか立ち直り、高貴さと優雅さを保とうとした。坂本加奈への視線はますます憎しみに満ちていった……

「あなた、彼らに何を言ったの?」彼女は歯を食いしばって言った。「そんな下品な男たちまでもあなたに魅了されるなんて、坂本加奈、あなたそんなに安っぽいの?黒川浩二は知ってるの?」

坂本加奈はまばたきをして、落ち着いた声で言った。「安っぽいって言葉は、あなたの方が似合ってると思うわ。」

西村美香の顔が曇った。「何ですって?」

坂本加奈が答える前に、彼女は手を振り上げ、激しく坂本加奈の顔を平手打ちした。

「あなたなんかに私を侮辱される筋合いはないわ!」

坂本加奈の頬は横に向けられ、ひりひりと痛んだが、彼女を見る目は毅然として屈しなかった。

「あなたのことを安っぽいって言って何が悪いの?浩二さんが結婚していて妻がいるのを知っていながら、人の結婚を壊そうとして、不倫相手になりたがって。あなたが安っぽくて悪くて愚かじゃなくて何なの?」

「黙りなさい!」西村美香はまた激しく彼女の顔を平手打ちし、怒り狂って言った。「あなたが私の計画を台無しにしなければ、今頃黒川浩二は私のものになっていたはずよ。」