第367章:少し抱かせて

坂本加奈の目に狡猾な光が宿った。「やっぱり、雫姉さんにあげたほうがいいんじゃない?」

薄田正の表情が一瞬曇った。「な、なんで彼女にあげなきゃいけないんだ?俺は彼女に会いに来たわけじゃない!」

深木雫も眉をひそめ、明らかに自分が巻き込まれるとは思っていなかった様子だった。

坂本加奈は肩をすくめて諦めた様子で言った。「あなたがプレゼントしたいなら、私だって受け取れないわ」

薄田正は黒川浩二の険しい表情を見て、躊躇した後で直接花を差し出した。「じゃあ、我慢して受け取ってくれない?」

黒川浩二は鋭い目つきで彼の顔を一瞥し、冷たく一言。「出ていけ」

薄田正:「……」

最後は坂本加奈が助け舟を出した。「そこに置いておいて。後でナースステーションの看護師さんにあげるわ」

薄田正は頷いた。「好きにしてくれ」